杉村敏之-雑記

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どんだけだけだけだけだけだけ

勤め帰りに立ち寄った会社近くのコンビニ。
レジに見たこともないような長蛇の列ができていて何事かと一瞬戸惑う。
客らは自分の番がやってくるとレジ越しの店員にタバコの棚を指さして「それ、あるだけ」と命令したり、「マイセンありったけ」と束になった札を数えたり、「カートン全部もってきて」ってリクエストに奥へとすっ飛んでった店員が申し訳なさそうに差し出したマルボロの2カートンに、「えっ、こんだけ?」と頓狂な声をあげたりと、コンビニの中はまさにてんやわんやで、店員は縦横無尽で独楽の如し。
「あるだけ」「それだけ」「こんだけ」「どんだけ」「これだっけ?」「すいませんこれだけです」と1センテンスにおける「だけ」の占有率が自分史上最も高い周囲の事態にすんなりと順応できず、「だけ」を過剰に意識するあまり聴覚はもはや「だけ」だけを意識と無関係なところで勝手に拾いだして、やがて「だけ」だけが狭いストアのこっちサイドだけでなく己の言語感覚というか1ワードに対する許容量っていうか絶対量とでも言うべきキャパシティを凌駕し、うわーもーいやー、ぎゅうぎゅうで、ぱんぱんで、ぎりぎりなところを行ったり来たりしてやっぱり飽和して、いよいよせつねー、暴発しそうだっつって堪らず何も持たずにそのまま店を出たら、長い髪をペラペラとさせたお水の女に体中から得体の知れないなにかをムンムン発散させているおっさん、「抱かせてよ、今夜だけは」って肩に手を回しているところで、また「だけ」だよと嘔吐感に襲われつくづく嫌になったよね、ぼえーぼへー。