杉村敏之-雑記

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ご献発の味。

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週末、静岡県は藤枝に。
目的は本郷神社という山間の小さな神社で行われる花火大会だ。
今年で2回目の観覧となるが、これがなかなかにいい。
鳥居をくぐり、参道を抜けると山を背負い込むようにして広がる比較的大きな円形の広場にぶつかる。
広場の奥側には高い櫓が立っていて、その櫓には拡声器を持った男が眼下の見物客を睨め回すようにして屹立し、花火が1発あがるごとになにやら長い口上を朗々と読み上げる。
打ち上がる花火はおそらくは地元の企業や○○家親族一同などと土地に根付いた小さなコミュニティから奉納されたもので、商売繁盛や家内安全の願いを託された花火は、たっぷりとした余韻をもって打ち上げられる。ご献発。この一夜にこの社で打ち上がる花火のことを指してここではそう呼ぶらしい。初めて耳にする言葉だけど、細く永く、そしてうやうやしく続けられてきた田舎町の年中行事にふさわしいノスタルジックな響き。
口上。着火。ドン。光の筋が夜の空を這い上がる。パン。炸裂。からの明滅。余韻。四方の山肌の残響と頭上に広がるあまりにも大きい光の輪に直立していられない。ぐわん。体が揺らぐ。

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帰りしな昼の食事をとった魚市場。魚の油が溜まり、ところどころ虹色の滲みを浮かせた場内は盛りの時間を終えたらしく閑散としていた。
売れ残ったブリを婆さんにもらう。ブリをビニールで二重に包み、帰途に着く。